ビタミンは健康を保つうえで欠かせない必須栄養素ですが、体内でほとんど合成できないため、食品から摂取する必要があります。
ビタミンは全部で13種類あり、それぞれ働きが異なるのが特徴です。
今回はビタミンB2にフォーカスし、その特徴や期待できる効果を解説していきます。
ビタミンB2が多く含まれる食品も紹介するので、不足して不調をきたさないためにも意識して摂取していきましょう。
ビタミンB2とは
ビタミンB2は水溶性ビタミンに分類されるリボフラビンと呼ばれる化合物です。
体内でフラビンモノヌクレオチドやフラビンアデニンジヌクレオチドに変換されて、糖質・脂質・タンパク質を代謝したり、エネルギー産生に関わる酸化還元酵素の補酵素として働いたりします。
リボフラビンが黄色であることから、大量に摂取すると尿が黄色やオレンジのような色になることがあります。
ビタミンB2に期待できる効果
ビタミンB2には次のような効果が期待できます。
皮膚や髪の毛の健康を保つ
ビタミンB2は皮膚や髪の毛、爪などの細胞の保護・再生に関係している栄養素です。
皮膚や髪の毛、爪などの代謝を高めて、再生を促進することで健康を保つ働きをします。
そのため、ビタミンB2が不足すると肌荒れしやすくなったり、髪の毛や爪が乾燥したりすることがあります。
糖質・脂質・タンパク質代謝の補助
ビタミンB2は食事から摂取した糖質・脂質・タンパク質といった栄養素をエネルギーに変換する補助的役割を担っています。
特に脂質の代謝に関係していることから、ビタミンB2はダイエット中の方にとって重要な栄養素と言えます。
また、ビタミンB群が不足するとクエン酸回路がスムーズに働かなくなり、エネルギーの生産量が落ちて疲れやすくなります。
このような理由からも、疲れやすいと感じる方はエネルギー代謝をアップさせるために、ビタミンB2を意識して摂取するとよいでしょう。
目や口の粘膜を守る
ビタミンB2は疲れ目による充血の改善や視力維持の働きを持つ栄養素でもあり、欠乏すると組織の新陳代謝が低下して目の病気にかかりやすくなったり、目が疲れやすくなったりします。
このような目の健康を守る効果があることから、疲れ目改善の効果がある目薬にはビタミンB2が含有されているものもあります。
また、粘膜の新陳代謝を促進する効果もあるため、口内の健康を保つうえでも重要です。
口内炎がよくできるとお悩みの方は、もしかしたらビタミンB2が不足しているのかもしれません。
成長ホルモンの合成の補助
ビタミンB2は発育のビタミンとも呼ばれる成長に欠かせない栄養素であり、不足すると成長に悪影響を及ぼします。
エネルギー代謝にも使用されるビタミンB2は、運動量が多くエネルギーの消費量が多い人ほど不足やすいため注意が必要です。
ビタミンB2の過不足で起きる症状
まず、ビタミンB2の過剰摂取に関しては、特に心配は要りません。
これはビタミンB2は水溶性ビタミンであり、必要量以上に摂取したとしても体内に蓄積することなく尿に排出されるためです。
過剰摂取の問題はないものの、ビタミン剤のサプリメント服用中に尿が黄色やオレンジ色になっている場合は、必要以上に摂取している可能性があるため、分散して服用するなどの工夫をするとより効率的に吸収できるかもしれません。
このようにビタミンB2は体内に留まらない性質を持つことから、取りすぎよりも不足する可能性の方が高いと言えます。
ビタミンB2が不足すると皮膚や粘膜の機能が正常に保たれなくなり、口内炎や角膜炎などの発症に加え、成長期の子どもが不足すると成長障害を引き起こす可能性も考えられます。
さらにビタミンB2が欠乏してリボフラビン欠乏症となると、口と舌が紫紅色になったり、頭の皮膚に鱗状のはがれやすい斑点ができたりして、脂漏性の斑点が花や唇、耳などに現れることがあります。
リボフラビン欠乏症は食事からのビタミンB2摂取量が足りない時や、血液透析や腹膜透析をされている方、慢性の下痢、肝疾患、慢性アルコール使用障害などの疾患を抱えている方などで発症リスクが高くなっています。
リボフラビン欠乏症の症状が見られるような時には身体検査や尿検査などの診断が行われ、必要があればサプリメントや注射などでビタミンB2を補う治療をします。
ビタミンB2の食事摂取基準の推奨量
肌や粘膜の保護、エネルギー代謝などに関わるビタミンB2は、体内で生成できないうえに蓄積することもできないため、日々の食事から摂取する必要があります。
ビタミンB2の食事摂取基準の1日の推奨量は次の通りです。
男性 | 18~49歳 | 1.6mg |
---|---|---|
50~74歳 | 1.5mg | |
75歳~ | 1.3mg | |
女性 | 18~74歳 | 1.2mg |
75歳~ | 1.0mg |
女性の場合は上記数値にプラスして、妊娠中であれば0.3mg、授乳中であれば0.6mgずつ追加で摂取する必要があります。
ビタミンB2は摂りすぎても尿で排泄され、過剰摂取の心配はないため、耐容上限量は決められていません。
ただし、ビタミンB2は一度に27mg以上は吸収できないとのデータがあることから、一気に大量摂取しても意味がないとされています。
そのため、毎日適量を分割して摂取するのが望ましいと言えるでしょう。
ビタミンB2の特徴と多く含まれる食品
体内におけるビタミンB2の重要性が理解できたところで、実際に摂取する具体的な方法について考えていきましょう。
ここでは、ビタミンB2を多く含む食品と、ビタミンB2の特徴について解説していきます。
ビタミンB2を多く含む食品
ビタミンB2が多く含まれる動物性食品には肉類や牛乳、乳製品、卵などがあり、特に牛・豚レバーに多く、生の状態で可食部100g当たり約3mg含有しています。
同じように牛乳は100g当たり0.15mg、プロセスチーズには0.38mg、全卵には0.37mg含まれています。
植物性食品でビタミンB2の含有量が多い食品は、可食部100g当たり1.06mgを含むアーモンドや、0.56mgを含む糸引き納豆です。
焼きのりも2.33mgと比較的豊富であり、どれも手軽に食べられる食品なので、気づいた時に食事にプラスするとよいでしょう。
ビタミンB2の特徴
ビタミンB2は水にやや溶けやすく、光に弱い性質を持つことから、新鮮なものをシンプルに調理すると損失を抑えることができます。
調理における損失の一例をあげると、食材を茹でた時に約20〜30%は茹で汁や煮汁に流出すると言われています。
このことからも、加熱調理をするのであれば、ビタミンB2が溶けだした汁ごと食べられるスープにするのがおすすめです。
また、ビタミンB2は光で分解されやすい性質を持つため、光が当たらない冷暗所に保管することが大切です。
さらにビタミンB2の損失を減らすためにも、できるだけ新鮮な食材を食べるようにしましょう。
ビタミンB群に分類されるビタミン
ここまでビタミンB2について解説してきましたが、これ以外にもビタミンB群には様々な種類の栄養素が存在しています。
ここからはビタミンB群に属する栄養素と、その主な働きについて紹介します。
ビタミンB1
豚肉や大豆などに多く含まれるビタミンB1は、糖質からエネルギーを作り出したり、脳や神経の機能を維持したりする働きを持つ栄養素です。
不足すると疲れやすくなったり、眼精疲労や肩こりなどを引き起こしたりすることがあります。
ナイアシン
ナイアシンと呼ばれることの多いビタミンB3は、皮膚の健康を保つ働きや、脂質・糖質・タンパク質の代謝を助ける働きを持つ栄養素です。
飲酒をよくする人や激しい運動をする人は不足しがちなので、ナイアシンを多く含むマグロやタラコなどから摂取するとよいでしょう。
パントテン酸
ビタミンB5であるパントテン酸は、落花生や豚レバーに多く含まれる栄養素です。
脂質・糖質・タンパク質の代謝に役立つ働きがありますが、妊娠中や授乳中に不足しやすいので注意が必要です。
不足するとうつやめまいといった症状を引き起こす可能性があります。
ビタミンB6
ビタミンB6は特にタンパク質のエネルギー代謝を助ける機能に加えて、神経伝達物質のサポートや女性ホルモンのエストロゲンの代謝に関わる働きを持つ栄養素です。
妊婦や発達段階にある子どもなどで不足しやすいので、ビタミンB6が多く含まれるサンマやバナナで補っていくとよいでしょう。
ビタミンB12
造血作用や神経の機能維持に関わるビタミンB12は、豚レバーやカキに多く含まれる栄養素です。
不足すると貧血を引き起こしたり、胎児・乳幼児の成長に悪影響を及ぼしたりするため注意してください。
葉酸
妊娠中に意識して摂りたい栄養素として有名になった葉酸は、タンパク質や赤血球の生成に役立つ働きがあります。
妊婦や貧血になりやすい人はトウモロコシやホウレンソウなどを意識して食べていきましょう。
ビオチン
ビオチンは脂質・タンパク質・糖質の代謝を助けたり、皮膚の健康を保ったりする働きを持つ栄養素です。
カリフラワーや大豆に多く含まれているので、肌荒れが気になる時には不足していないか確認してみましょう。
ビタミンB2はエネルギー代謝や皮膚の健康を保つ効果がある栄養素
ビタミンB2には、脂質・タンパク質・糖質の代謝をサポートしたり、皮膚や髪の毛の健康を保ったりする効果があり、不足すると口内炎や成長障害を引き起こす可能性があります。
ビタミンB2は水溶性ビタミンであることから身体に留まりにくい性質を持つので、不足しないようビタミンB2が多く含まれる食品にはレバーや牛乳、卵、納豆などを意識して日々摂取する必要があります。
ビタミン類は種類も多く、すべてを充足させようとするとひと苦労です。
マルチビタミンサプリメントなどを上手に取り入れながら、日々の健康を保っていきましょう。