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心不全・狭心症について徹底解説|硝酸薬の作用機序も紹介

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心不全・狭心症について徹底解説|硝酸薬の作用機序も紹介

「心不全や狭心症ってどんな病気?」
「硝酸薬が作用するメカニズムは?」
このような疑問を持っている人は少なくないのではないでしょうか。

本記事では、心不全と狭心症の病態について徹底解説。
治療薬である硝酸薬の作用機序や、注意すべき点についても紹介します。

本記事を読めば、心不全・狭心症や硝酸薬について理解を深められます。
興味がある人はぜひ最後までご覧ください。

硝酸薬は心不全・狭心症に対する治療薬

心臓に発生する疾患と聞いて、あなたが思い浮かべるものは何でしょうか?
心不全や心筋梗塞、不整脈などをご存知の方も少なくないでしょう。

本記事で取り上げていく硝酸薬は、心不全と狭心症に対して用いられる治療薬です。
いずれもメジャーな心疾患であり、硝酸薬が使われる機会は多いと言えるでしょう。
まずは、それぞれの疾患について紹介していきます。

心不全

全身に血液を送り、そして全身から血液が戻ってくる心臓は、右房・右室・左房・左室の4部屋から構成されています。
全身の血液循環の流れは以下の通りです。

全身の各臓器→大静脈→右房→右室→肺動脈→肺→肺静脈→左房→左室→大動脈→全身の各臓器
全身から戻ってきた血液が右房に入り、肺で酸素化した後、左室から全身に送られるという流れです。

ここで、心臓や肺などに何らかの障害が発生すると、上記の血液循環に異常をきたします。
その結果、息切れやむくみをはじめとする、様々な症状が生じる病態が心不全です。

  • 初期の代償機構
  • 進行するメカニズム
  • 症状
  • 今後の見通し

以上の観点から、心不全について詳しく見ていきましょう。

①初期の代償機構

何らかの疾患などで心機能が低下すると、心臓から全身に送り出される血液量(心拍出量)が減少します。
そのままでは血圧が低下してしまいますが、初期の段階では以下のような代償機構が働きます。

代償機構 効果
交感神経系の亢進 ・心臓の収縮力と心拍数が上昇し、心拍出量を高める ・血管を収縮させ、血圧を高める
RAA系の亢進 ・尿として出ていく血液量を減らし、心臓に戻ってくる血液量を増やす ・血管を収縮させ、血圧を高める
バソプレシンの分泌亢進 ・尿として出ていく血液量を減らし、心臓に戻ってくる血液量を増やす ・血管を収縮させ、血圧を高める

それぞれの詳細なメカニズムは省略しますが、以上のようなメカニズムで血圧を維持しているのです。

②進行するメカニズム

心機能低下に対する代償機構には、血圧を維持するというメリットがある反面、心臓の負担が大きくなるという重大なデメリットがあります。
具体的なメカニズムは以下の通りです。

  1. 心臓に戻ってくる血液量が増える→循環させなければならない血液量が増える(前負荷)
  2. 血管が収縮する→血管抵抗が高まり、全身に血液を送る際により強い力が必要となる(後負荷)

慢性的に前負荷と後負荷がかかることで、心臓がどんどん弱っていってしまいます。

心臓が弱ってしまうと、交感神経系の亢進でも代償できないほど、心臓の収縮力と心拍数が低下します。
その結果、心拍出量が下がるとともに、心臓に血液が溜まることで様々な症状を呈するのです。

③症状

心拍出量の低下により、以下のような症状が生じます。

  • 動悸
  • 易疲労感
  • 尿量減少
  • 低血圧
  • 四肢冷感
  • 冷汗

病態が進行すると、意識障害をきたす場合もあります。

また、心臓に血液が溜まることで左心(左房・左室)と右心(右房・右室)の圧が上昇。
その結果、肺循環や全身の循環(体循環)にうっ血が起こり、以下のような症状がみられます。

うっ血 原因 主な症状
肺うっ血 左心圧の上昇 (左心不全) ・労作時(運動時)息切れ ・頻呼吸 ・呼吸困難
体うっ血 右心圧の上昇 (右心不全) ・消化器症状(食欲不振、腹部膨満感、嘔吐、便秘など) ・浮腫(むくみ) ・体重増加

④今後の見通し

心不全の病態とは関係ありませんが、今後の見通しについても触れておきましょう。
日本は高齢化が進んでいるため、心不全が爆発的に増えると予想されています。
このことを指し、「心不全パンデミック」という言葉も使われているほどです。

心不全の患者数は毎年約1万人ずつのペースで増加しており、2030年には130万人に到達すると推定されています。
そのため、心不全の予防・治療に関する様々な分野の進歩が期待されています。

虚血性心疾患とは?

心臓は「冠動脈」という血管に栄養されています。
「栄養される」を簡単に説明すると、酸素をはじめとする必要な物質を供給してもらっている、という意味です。

とても重要な役割を担っている冠動脈ですが、動脈硬化などの理由により、狭窄・閉塞してしまうことがあります。

すると、狭窄・閉塞した部位以降の冠動脈に、血液が流れにくくなります。
その結果、心臓に供給される酸素の量が減少してしまう、これが虚血性心疾患です。

虚血性心疾患の分類

虚血性心疾患は、狭窄・閉塞が起こるメカニズムや症状・経過などから、以下の4つに分類されます。

  • 労作性狭心症
  • 冠攣縮性狭心症
  • 不安定狭心症
  • 心筋梗塞

以上の4疾患のうち、本記事では硝酸薬が適応となる、3つの狭心症について見ていきましょう。

①労作性狭心症

労作性狭心症は、運動をした時などに心臓に十分な血液が送られず、胸が苦しくなる疾患です。
運動をすると心臓は全身にたくさんの血液を送る必要があり、その分、心臓自体にも多くの酸素が必要になります。

そこで、冠動脈が広がって心臓に必要な量の血液を届ける仕組みが備わっています。
しかし、動脈硬化により血管が狭くなっていると、狭窄した部分がうまく広がらず、心臓に十分な血液を送れません。

その結果、胸が締め付けられるような圧迫感が生じます。
ただし、圧迫感は運動をやめて少し休めば、3~5分くらいで治まることがほとんどです。

②冠攣縮性狭心症

冠攣縮性狭心症は、冠動脈が突然痙攣のように収縮して、血液の流れが悪くなって起こる疾患です。
痙攣は動脈硬化がある部分で起こりやすく、血管が狭くなったり、ひどい場合には完全に詰まってしまったりします。

その結果、心臓に十分な血液が届かず、胸が締め付けられるような圧迫感が生じます。

冠攣縮性狭心症の特徴は症状が生じるタイミングであり、運動中ではなく、むしろ安静にしている時や夜間・早朝などに症状が出やすいです。
また、症状が続く時間も労作性狭心症より長く、数分から15分程度続きます。

③不安定狭心症

不安定狭心症は、動脈硬化が生じている場所に血栓(血の塊)ができることで、急激に冠動脈が狭窄する疾患です。
症状が圧迫感にとどまる労作性狭心症や冠攣縮性狭心症とは異なり、強い胸の痛みが生じます。
胸痛は運動時/安静時問わず発生し、数分~15分以上持続します。

なお、動脈硬化の部位に生じた血栓により、冠動脈が完全に閉塞して起こる疾患が心筋梗塞です。
心筋梗塞では、強い胸痛の他に悪心・嘔吐や呼吸困難などが生じますが、硝酸薬を投与しても症状が消失しません。

硝酸薬の作用機序

硝酸薬は、血管を構成している筋肉である「血管平滑筋」を弛緩させることで、以下の作用を発揮します。

  • 静脈を拡張する
  • 小さな動脈を適度に拡張する
  • 冠動脈を拡張する

以上3つのうち、最も主要である作用は静脈の拡張です。
静脈が拡張すると、静脈内に貯留する血液が増えるため、心臓に戻ってくる血液量が減ります。
すなわち、前負荷が軽減されるため、心不全に対して効果を発揮できるのです。

また、小さな動脈が適度に拡張すると血管抵抗が弱まります。
すなわち、後負荷が軽減されるため、心不全に対して効果を発揮できるのです。

以上2つの作用により心臓の負担が減少するため、心臓が必要とする酸素の量も低下します。
そのうえ、硝酸薬には冠動脈を拡張する作用もあるため、狭心症に対して効果を発揮できるのです。

硝酸薬の注意点

硝酸薬を使用するにあたって、注意すべき副作用は以下の通りです。

循環器症状 めまい・ふらつき・動悸・急激な血圧低下など
精神神経系症状 頭痛・脱力感など

また、以下に該当する人は硝酸薬を使用できません。

閉塞隅角緑内障の患者さん 眼圧を上昇させ、病状を悪化させる恐れがあるため
PDE5阻害薬を使用中の人 血圧を下げる作用が増強され、低血圧となる恐れがある

その他、アルコールの摂取によっても血圧低下が増強される可能性があるため、注意が必要です。

まとめ:硝酸薬で心不全・狭心症を治療しよう

硝酸薬は、メジャーな心疾患である心不全・狭心症に対して用いられている治療薬です。
心不全では心拍出量の低下による息切れやむくみが、狭心症では冠動脈の狭窄による胸部圧迫感が生じます。

硝酸薬は静脈や冠動脈を拡張することで、心不全や狭心症に対する治療効果を発揮します。
注意点に十分気を付けつつ、硝酸薬を治療に役立てましょう。

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